鎌倉幕府跡を歩く (517)-7km

コースの特徴

鎌倉幕府は、その政庁所在地が2回、移転しました。つまり、3か所あります。
もっと移転しているという説など、いろいろあるようです。
鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡』などに記載があっても、焼失したりして忘れられ、いまは住宅が立ち並んでいて遺構調査ができにくい事情もあって、分からないことが多いそうです。

2022年1月から放映されている、三谷幸喜・脚本のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、主に、最初の政庁が置かれた「大倉幕府」を舞台に展開します。

本コースでは、3か所の鎌倉幕府所在地、北条執権家の邸宅、源頼朝が平泉・中尊寺二階大堂を模して建立した永福寺、押し寄せる新田義貞の軍勢を前に自刃して八百七十余名が果てた東勝寺など、歴史を訪ねる街歩きです。
ただし、現存している建造物はありません。石碑あるいは発掘された遺構などから、その「跡」だとわかります。

歴史の「跡」をたどり、鎌倉の街の小径を歩きながら、往時の様を想像するウォーキングです。
NHK大河ドラマをご覧になられている方にとっては、よりイメージがふくらむのではないでしょうか。

以下、コース概要を参考に、紹介している順序にとらわれず、自由に歴史を散策してください。山に迷い込まなければ、また、交通事故に気をつけていただければ、遭難の心配はほぼありません。

コースの概要

JR鎌倉駅―鶴岡八幡宮二の鳥居―宇津宮辻子幕府若宮大路幕舊蹟碑―青砥藤綱旧跡―東勝寺橋―東勝寺跡―北条高時腹切りやぐら北条執権邸旧跡碑―筋替橋(鎌倉十橋)跡―大倉幕府舊蹟碑(大倉幕府跡)―大御堂橋―文覚上人屋敷址―勝長寿院跡―関取場跡碑―永福寺跡入口―永福寺跡―鎌倉宮―荏柄天神碑―東御門旧跡碑―法華堂跡碑―源頼朝の墓―大江広元の墓・毛利季光の墓・島津忠久の墓―北条義時法華堂跡―西御門旧跡碑―鶴岡八幡宮 東鳥居・畠山重忠邸址―鎌倉国宝館―鶴岡八幡宮 本宮(上宮)―鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム―旗上弁財天社―段葛(だんかずら)―JR鎌倉駅

コースの区間距離

ポイント区間距離累計距
JR鎌倉駅
(02)宇津宮辻子幕府445m445m
(03)若宮大路幕府舊蹟碑335m780m
(07)東勝寺跡・北条高時腹切りやぐら460m1,240m
(08)北条執権邸旧跡碑510m1,750m
(10)大倉幕府舊蹟碑(大倉幕府跡)510m2,260m
(13)勝長寿院跡495m2,755m
(15)永福寺跡入口990m3,745m
(16)永福寺跡410m4,155m
(17)鎌倉宮335m4,490m
(21)源頼朝の墓574m5,064m
(22)大江広元の墓・毛利季光の墓・島津忠久の墓104m5,168m
(25)鶴岡八幡宮 東鳥居・畠山重忠邸址720m5,888m
(30)段葛560m6,448m
JR鎌倉駅781m7,229m
注:( )内の数字は、下記「コースの地図」(Googleマップ)中のコースポイント番号。

コースの地図

グーグルマップ上に記したコースポイント番号は、以下の説明の中にある《カッコで囲った赤字の数字(00)》に対応しています。
パソコンでご覧の方は、グーグルマップの右上にある、切れ目が入った正方形マークをクリックすると、大きな地図になります。
また、グーグルマップに記した各コースポイントをクリックすると、その場所の写真を見ることができます

鎌倉幕府の政庁所在地は、3か所ありました

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、北条政子と結婚して平家に反旗を翻し幕府を開いた源頼朝、その死後パワーゲームを繰り広げた13人の家臣たち、二代将軍・頼家、三代将軍・実朝、権力闘争に勝利した北条義時を、従来の大河ドラマの枠を破った斬新な描写で描きます。(NHK「大河ドラマ 鎌倉殿の13人」

鎌倉殿の13人 大河ドラマ館」が、2022年3月1日(火)~2023年1月9日(月・祝)、鶴岡八幡宮境内の鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム(28)で開館中 (無休・料金・大人1,000円) です。

鎌倉幕府の成立

ところで、鎌倉幕府は、いつ成立したのでしょう?
現在は、壇ノ浦の戦いで平家を滅亡させ、源頼朝が後白河法皇から、国ごとに置かれその国を支配する守護職、郡や郷を支配する地頭職の任免権を得て(文治の勅許)、全国の軍事・警察権を掌握した1185年とする説が有力だそうです。
なお、頼朝が征夷大将軍となり、支配の正統性を担保することになった1192年をもって鎌倉幕府成立とする説もあります (私は昔「鎌倉幕府は いいくに(1192)」と記憶させられましたが、定説も変わりますね)。

大倉幕府[跡]

幕府成立に先立つ1180年、頼朝は鎌倉の大倉郷に「大倉御所」を置き、侍所、公文所、門注所(御家人の統率・警察、財政・政治、訴訟を担う組織)を設置して武家政権の権力を形成しました。
「大蔵御所」、「大倉幕府(10,19,24)」 とも呼ばれます。
公文所の初代長官は大江広元(22)で、鎌倉殿に仕えました。

大倉幕府跡

執権政治

頼朝に娘・北条政子を嫁がせた北条時政 (生1138年-没1215年) は、鎌倉殿を支え、その政務を担っていました。

1199年、頼朝は53歳で突然 (死因は不明) 亡くなります(21)。
その嫡子・頼家が第二代征夷大将軍となり、「十三人の合議制」が発足します。
1203年、北条時政は病に倒れた頼家を伊豆修善寺へ追放します。そして北条時政は、頼家の弟・実朝 (当時12歳) を第三代征夷大将軍に擁立して実権を掌握し、初代執権となります。

NHK大河ドラマの核心部分です。

1219年、26歳だった実朝は鶴岡八幡宮で頼家の次男だった公暁に殺害され、ここに源氏は断絶します。
そして、名目上京都の公家から将軍を迎え、北条時政の次男であり北条正子の弟である北条義時 (生1163年-没1224年(23)) 事実上の最高権力者となります。

宇都(津)宮辻子幕府[跡]

1225年、その前年に第三代執権となった北条泰時 (北条義時の長男;生1183年-没1242年(6)) は、北条政子の死後、専制体制だった源氏政権から合議制を旨とする執権政治への移行を目指し、幕府政庁を北条執権邸旧跡碑(8)の近隣地に移転します。
この新しい幕府政庁は、若宮大路と小町大路に囲まれた宇都宮辻子 (「辻子」は、小道の意味)の北側200メートルに位置していたことから、「宇都(津)宮辻子幕府(2)」と呼ばれました。
なお、北条執権邸旧跡碑は、北条義時が居宅を置き、それ以来、歴代の北条得宗家(北条氏の跡取りの家系)の屋敷があった場所に建っています。

宇都(津)宮辻子幕府跡

若宮大路幕府[跡]

さらに1236年、北条泰時は幕府政庁を若宮大路へ移転させ、この「若宮大路幕府(3)」は1333年、新田義貞による鎌倉攻めにより鎌倉幕府が滅亡(6,7)するまで存続しました。

若宮大路幕府跡

若宮大路幕府の位置には、宇津宮辻子幕府の敷地内で改築された説、あるいは宇津宮辻子幕府の北側だという説など異説があり、詳細は不明です。

たとえば、玉林美男(文化財課遺跡発掘調査研究員)「嘉禄元年における藤原三寅の御所移転とその位置について」 (pdf)。

立ち寄る主なポイント

鶴岡八幡宮

源頼義が1063年、京都の石清水八幡宮を勧請し、源氏の氏神として由比ヶ浜辺に祀ったのが始まりです。1180年に源頼朝が現在地に遷座(27)しました。
由比ヶ浜から北に伸びる若宮大路は鶴岡八幡宮の参道です、二の鳥居(1)からは車道より一段高い歩道(段葛(30))が道路の中央にありますが、段葛は鶴岡八幡宮の境内であり、神社の私道です。

勝長寿院[跡]

源頼朝が父・義朝 (生1123年-没1160年) の霊を慰めるために創建しました。
当時、勝長寿院は鶴岡八幡宮、永福寺とともに鎌倉の三大寺社の一つで、源氏の菩提寺ともいえる大きな寺だったと思われます。
現在は宅地化が進み、「勝長寿院旧蹟」の石碑と供養塔(13)があるのみです。

永福寺[跡]

源頼朝が、奥州攻めで亡くなった源義経・藤原泰衡など武将たちの鎮魂のために、平泉の中尊寺二階大堂 (大長寿院) 等を模して建立しました。
建久5年(1194年)に三堂 (阿弥陀堂、二階堂、薬師堂) が完成し、鎌倉幕府から手厚く保護されましたが、応永12年(1405年)に焼失しました。
昭和58年度から平成8年度まで発掘調査が行われて堂を中心とする壮大な伽藍や庭園の存在が確認され、現在は史跡公園として整備(16)されています。

鎌倉市ホーム > 教育・文化・スポーツ > 文化・文化財 > 鎌倉の文化財について > 史跡永福寺跡 に詳しい説明があります。

北条義時法華堂[跡]

法華堂とは、本来、天台宗の法華三昧の行を行う仏堂、法華会を行う仏堂を指していましたが、鎌倉時代ごろは皇族や貴族などの墓所に建てられる堂のことも呼ぶようになりました。
北条義時法華堂(23)は、2005年の発掘調査で遺構が発見されました。

現地に立つと、当時の法華堂の復元CGをスマートフォンアプリ「AR北条義時法華堂」で見ることができます。<Android版>、<iOS版
アプリをあらかじめスマートフォンにインストールしておくと、現地ですぐに使えます。

源頼朝墓(21)(法華堂(20))、毛利季光・大江広元・島津忠久の3人の近世墓(22)、三浦一族を供養するやぐらについては、鎌倉市ホーム > 教育・文化・スポーツ > 文化・文化財 > 文化施設 > 史跡法華堂跡(源頼朝墓・北条義時墓) の説明をご覧ください。

東勝寺[跡]

1224年に執権となった北条泰時は、北条一族の菩提寺として東勝寺(6)を築きました。
1333年、北条高時ら北条氏一門は東勝寺に立てこもり、鎌倉に攻め入った新田義貞の軍勢を迎え撃とうとしましたが敵わず、自ら寺に火を放ち一族・家臣283名は自刃しました(7)。
1975年から1997年、数次にわたる発掘調査によって遺構群が確認され、1998年に国の史跡に指定されています。
東照寺跡の奥に祇園山ハイキングコースへの入口がありますが、その左に北条高時腹切りやぐら(7)が残っています。

畠山重忠邸址 (鶴岡八幡宮 東鳥居前)

「鎌倉殿の13人」にははいっていませんが、源頼朝の信任が厚かった畠山重忠の屋敷跡(25)です。
元久2 (1205) 年6月23日、畠山重忠は頼朝の没後に実権を握った初代執権であり岳父 (菊の前の父) である北条時政の謀略によって謀反の疑いをかけられ、時政の息子・北条義時の大軍と二俣川・鶴ヶ峰で戦い、重忠側は一族134名がことごとく戦死しました。

畠山重忠が北条軍と戦った鶴ヶ峰周辺を「畠山重忠(はたけやま・しげただ)終焉の地・鶴ヶ峰を歩く(518-1):6km」で紹介しています。

ランチ、喫茶ができるおススメの場所

今回歩くコースでは、小町通り・若宮大路沿いから外れると、懐石料理、イタリアン、フレンチの高級レストランが奥まったところに、ひっそりと素敵な店を構えているものの、気軽に休める適当なところは少ないようです。
そんななか、よさそうに思えた軽食のできる喫茶店蕎麦店を紹介します。Googleマップの地図に、マークしてあります。いずれの店も人気があるので、行かれる前に状況を問い合わせたほうがいいでしょう。

また、今回歩くコースでは、お弁当を広げて食べられる適当な場所もあまりありません。外で食べられる場所のおススメは、永福寺跡です。ここは広々としていて、静かで、ゆっくり食べられます。難点は、いちばん近いトイレが鎌倉宮境内だということです。

Bergfeld雪ノ下本店

金沢街道に面し、コース沿いと言っていい場所にあります。
地元の常連さんが集まるカフェで、美味しい自家製のパンが食べられます。
お昼の時間帯から前後にずらしていったほうが、入店できる確率が高まります。

住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下3丁目9−24
電話:0467-24-2706
bergfeld-kamakura.com
https://www.facebook.com/bergfeld.jp/

千花庵 鎌倉店

清泉小学校の北に面していて、コース途中にある蕎麦店です。地元の知人がおススメのお店ですが、いつ通っても行列ができていて、まだ店内に入ったことがありません。
2022年6月、土曜日だけど開店時間に着けば食べられるだろうと考えて11時ちょうどに行ったら、店内に入れないお客さんが外に行列していました。

住所:神奈川県鎌倉市西御門2丁目6−13
電話:0467-22-6517
chihana-an.com

鎌倉二階堂 カフェトリエ ブルージュ

永福寺跡入口(15)から400m、瑞泉寺総門の手前を左に入ったところにありますが、実は、行ったことがありません。しかし、小さな民家の、良さげなカフェに思えます。
コーヒー&自家製酵母と国産小麦でつくるパンのプレートやチーズケーキ、ショコラ、ティラミスなどのお菓子が食べられます。
予約ができるとは書いてありませんが、事前に電話してみたらいかがでしょう。

住所:神奈川県鎌倉市二階堂694
電話:0467-84-7763
cafe-30472.business.site
https://www.instagram.com/cafetelier_brugge/?hl=ja

燕CAFÉ

東勝寺橋(5)の手前角にある築85年の古民家カフェです。
地元の良質野菜・オーガニック食材を使用し和+洋を融合した、おまかせランチや薬膳カレースイーツがあります。
予約ができると書いてあります。

住所:神奈川県鎌倉市小町3丁目2−27
電話:080-3597-7737
tsubamecafe-kamakura.shopinfo.jp
https://www.instagram.com/tsubamecafe_kamakura/?hl=ja

石窯ガーデンテラス

関取場跡碑(14)のところにある信号「大御堂橋」から金沢街道を1km歩いた、浄妙寺の奥にあります。
スコットランド人ガーデンデザイナーが手掛けた、自然を感じさせる美しい庭を眺めながら、瀟洒な洋館美味しいランチを食べたり、ティーを楽しむと、心がリフレッシュします。
前日までに、電話予約ができます

住所:神奈川県鎌倉市浄明寺3丁目8−50
電話:0467-22-8851
www.ishigama.info

石窯ガーデンテラス

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