柿生 (かきお) の里と王禅寺を歩く(512)―10km
本コースは、小田急電鉄ウェブサイトにある “小田急沿線 自然ふれあい歩道” の「柿生駅(王禅寺)コース」をベースにしていますが、ちがう道を通る箇所もあります。変化がある場所を前半でまわるようにしたので、小田急コースとは逆まわりになっています。
小田急電鉄のサイトには、立ち寄りスポットの説明・写真、グーグルマップの地図のほか、詳細なオリジナルマップが載っています。
また、”川崎市ホームページ” の「あさおグリーン・ツーリズム > 散策コース > 2.寺社めぐりコース (上麻生・王禅寺・白山)」 と「川崎市トップページ > 市の施設 > 遊歩道・散歩道 > 柿生の里散歩道」も、参考にさせていただきました。
区間ごとのコース説明
区間1・区間2の写真は、コチラ をご覧ください。
[区間1] 柿生駅を出発し、浄慶寺の庭園へ
柿生駅南口―浄慶寺―浄慶寺境内庭園一周―秋葉大権現
小田急小田原線・柿生駅
「柿生」という駅名は、里山の懐かしい風景が連想され、なんとも魅力的で気になっていた場所です。初めてこの駅を訪問するのに、出かけるのに手間取り、柿生駅に着いたのは、もう昼近くになっていました。
小田急小田原線・柿生駅は神奈川県川崎市麻生区に所在する古くからある駅です。
現在、麻生区には「柿生」という地名はありません。1889 (明治22) 年の町村制施行によって近隣の村が合併してできた「柿生村」は、1939 (昭和14) 年に川崎市に編入され消滅しました。「柿生村」という名前は、この地が禅寺丸柿の原産地で、柿の名産地だったことから名づけられました。
柿生駅の上りホームには引き込み線が設けられ、昭和30年代までは、この引き込み線から箱詰めされた大量の禅寺丸柿や地元で生産された野菜が貨物車に乗せられ出荷された。
川崎・麻生観光協会ホームページ「禅寺丸柿(ぜんじまるがき)」 より。
前置きはこのぐらいにして、柿生駅を出発します。右側の(見えませんが)麻生川、左側の崖にはさまれた車道は、南に歩いていくと、右に大きくカーブします。カーブする手前にある左への細い道を登っていくと、浄慶寺・秋葉大権現への入り口です。
麻生山浄慶寺
浄慶寺の境内は、見どころがたくさん。
本堂の手前には、ユニークでひょうきんな羅漢様がいて、訪れる人を迎えます。カメラを構えた羅漢様もいます。
本堂の前から右手の裏山にかけて3,000本ものアジサイが植えられ、「柿生のアジサイ寺」として知られています。
ウメやサクラ、ショウブ、曼殊沙華も植えられていて、紅葉も楽しめます。
この山肌は草木できれいにおおわれ、山道気分で一周していくと、秋葉大権現に出ます。
秋葉大権現
掲示によると、江戸時代、領主の旗本三井家が火防、厄難消除、五穀豊熟、諸民安穏をのために、遠江国大居村(浜松市)にある大登山秋葉寺の三尺坊秋葉大権現を勧請、ということのようです。
神殿からは、急な階段を下って浄慶寺の入口に戻り、山道を登っていきます。
階段を下りずに神殿横の駐車場から道路に抜けることもできます。
「秋葉大権現」に関する解釈はむずかしく、生半可な紹介をして間違ったことを書いてはいけないので、由来に関心のある方は資料を紹介している、たとえば 秋葉神社(神奈川県川崎市麻生区上麻生) をご覧ください。
[区間2] 月讀神社を経て、籠口ノ池公園へ
オプション:おっ越し山ふれあいの森(柿生郷土史料館)
秋葉大権現から、両側が雑木林・竹林になっている細道をのぼっていくと、尾根筋にT字路で突き当たります。月讀神社へは右へ向かいますが、左に折れて寄り道をしてみましょう。しばらく北へすすむと、右手にこんもり盛り上がったところがあり、階段をのぼると、おっ越し山ふれあいの森の頂上です。さらに進むと見える川崎市立柿生中学校のなかに、柿生郷土資料館があります。ただし、開館日は限られています。
- 奇数月(1・3・5・7・9・11月)は毎週日曜日
- 偶数月(2・4・6・8・10・12月)は毎週土曜日
- 開館時間 10:00~15:00
開館日に合わせて見学するのはむずかしいですが、「麻生の歴史を探る」という連載が
柿生郷土資料館トップ>機関誌「柿生文化」
に掲載されていて、ネットで読むことができます。
月讀神社へは、T字路に戻ります。
秋葉大権現―月讀神社への分岐―妙香山常安寺―柿の実幼稚園―月讀神社―籠口ノ池公園 入口
T字路からは、尾根筋の細い道を進みます。
この尾根筋は、「おっ越し山緑の保全地域から始まり、上麻生仲村東特別緑地保全地区、麻生山浄慶寺緑の保全地域、王禅寺源内谷緑地、王禅寺源内谷南公園、柿生の里特別緑地保全地区、上麻生第六天緑地につながる」里山です (「柿生の里の緑地を守れ!住民の声が「まちづくり委員会」で趣旨採択されました。」より)。
左側に住宅地が見える二股を、うっそうとした竹林の右側へ進みます。
しばらく下ると急に明るくなり、住宅街に出ました。
月讀神社への分岐
さらに道なりに坂を下っていくと、「柿生の里散歩道」の標識がたっていて、月讀神社へは左方向を案内しています。こちらが神社への近道です。
丘陵歩きの「醍醐味」は、坂や階段を上り下りして、地域を立体的に感じることにあるでしょう。
ここは左折しないで、道なりにまっすぐ進みましょう。
南面の見晴らしがいい上麻生亀井公園を過ぎ、急な下り階段をおりていく(約10mの標高差)と、左手前方に大きな屋根が見え隠れし、さらに下って広い道路(横浜上麻生道路)に出たら、左折します。
常安寺・柿の実幼稚園
横浜上麻生道路に出たら、すぐに左折します。
左に常安寺の大きな本堂が見えます。
その先は、かわいいマスコット人形や「ぐるぐる のこのこ探検隊」というイラストが描かれたマップなどが飾ってある柿の実幼稚園です。
幼稚園の脇に長い参道が、月讀神社へのぼる石段に向かって伸びています。
石段の両側も、柿の実幼稚園の園庭で、冒険遊びの基地になっているようです。
木や斜面を使って思う存分あそべる園児たちは、楽しい経験を積み重ねられることでしょう。
月讀神社
長い石段をのぼった広い境内の西・東にも鳥居があります。先ほどの月讀神社への分岐から東に向かえば、この西側の鳥居に出てきます。境内には、日枝社、熊野社といった摂社が祭られています。木々に囲まれた静かな空間です。
月讀神社は、打ち続く応仁戦乱に苦悩した武蔵国都筑郡麻生郷の領主小島佐渡守が、領民のため天下泰平五穀豊穣を祈願して伊勢皇大神宮別宮月讀宮の分霊を勧請、天文3 (1534) 年に社殿を建立し、一尺一寸八分の月夜見尊像を奉安したのが始まりです。
ところで「月讀神社」は全国でも八十数社しかないそうです。祭神のツクヨミまたはツキヨミは日本神話に登場する神で、「月」を象徴し天照大神の弟でありながら、古事記や日本書紀には記述がほとんどありません。
下記に資料が載っているので、関心のある方はご覧ください。
神社訪問記ホーム > 月読神社(神奈川県川崎市麻生区上麻生)
猫の足あと > 神奈川県の寺社 > 川崎市の寺社 > 川崎市の神社 > 月読神社
麻生不動院・不動橋
月讀神社からは東の鳥居をくぐり、森のなかの細い道を下っていくと住宅が見え、「月讀神社入口」という表示のある道路に出ます。
ここから左へ100メートル行くと麻生不動院(明王山不動院般若坊)がありますが、立ち寄りませんでした。
不動尊は古くから「火伏せの不動」あるいは「木賊(とくさ)不動」と呼ばれ、火難から人を守る不動として信仰されてきました。
毎年1月28日は初不動の縁日で、「関東納めのダルマ市」として境内だけでなく周辺にもダルマ市が立ち、例年ですと数万人の人出で、柿生駅から臨時バスがピストン輸送で参詣客を運ぶそうです。ふだんはさびれていますが、1月28日の賑わいは「あさお不動のだるま市」をご覧ください。
籠口ノ池公園
さて、「月讀神社入口」という表示のある道路を左折せずに横切り、真福寺川を赤い擬宝珠(ぎぼし)が飾られた不動橋で渡り、突き当りのT字路を右折し、信号「東柿生小学校」を左折して道なりにまっすぐ進むと、ブランコのある公園と池が見えてきます。籠口ノ池公園です。
下麻生村の田の灌漑用水として使われていた籠口ノ池の周囲には桜の樹が植えられ、いまでは桜の名所になり、池をながめる四阿が建っています。
公園は斜面に沿って延びていて、階段で登っていくと遊具のある広場に出ます。ここから公園を出ると、目の前に川崎市王禅寺こども文化センターがあります。
実際に歩いたときはこの出口からではなく、雰囲気のいい竹林の小道をゆるやかに下り、またのぼり返して公園から出ました。